Pricing & Terms
コンテンツタリフContent Tariff
観光コンテンツを旅行会社やランドオペレーターに仕入れてもらうために、NET価格・販売定価、受入可能日、所要時間、催行人数、販売手数料、キャンセル規定などの販売条件を一覧にまとめた業者向けの資料。B2B営業の基本ツール。
この用語の要点
- 旅行者向けのパンフレットではなく、旅行会社・ランドオペレーターが「仕入れてツアーに組み込めるか」を判断するための業者向け資料
- 観光庁サイトに掲載されている国の手引きでも、海外旅行会社との商談には「販売価格や受入可能日などの諸条件を商談相手国の言語で記したコンテンツタリフ」が必要とされている
- 価格はNET(卸値)とGROSS(販売定価)を分けて書き、税込・税抜と有効期間を必ず添える
- 海外の旅行会社は販売の1年以上前から企画・募集を始めることがあるため、翌年度分のタリフは早めに用意する
コンテンツタリフとは何か
「タリフ(tariff)」は英語で料金表のことです。旅行業界では、ホテルの客室料金や貸切バスの運賃を時期別・条件別にまとめた一覧を昔からタリフと呼んできました。体験・ガイドツアー・食事・入場などの観光コンテンツについて同じものを作ったのが、コンテンツタリフです。
ただの値段表ではありません。旅行会社やランドオペレーターが知りたいのは「いくらで仕入れられるか」に加えて、「いつ、何人まで、どんな条件で受け入れられるか」です。そのため、価格と一緒に受入可能日、所要時間、最少・最大の催行人数、販売手数料、キャンセル規定、注意事項までを一枚(または数ページ)にまとめます。
国土交通省中部運輸局の『訪日外国人旅行者向け 観光コンテンツ販路構築の手引き』(観光庁サイトに掲載)でも、海外旅行会社との商談では「販売価格や受入可能日などの諸条件を商談相手国の言語で記したコンテンツタリフ」と、画像・動画などの販促ツールの準備が必須だと書かれています。
商流の中での位置づけ:誰が読む資料か
コンテンツタリフを読むのは旅行者ではなく、旅行商品を組み立てる側です。
- ランドオペレーター: 海外の旅行会社から依頼を受け、日本国内の宿・移動・体験を手配する会社。タリフを見て、自社のモデルコースやお客様の要望に組み込めるかを判断する
- 海外の旅行会社: 日本ツアーを企画・販売する会社。商談会でタリフを受け取り、翌年以降のツアー企画の候補にする
- 国内の旅行会社: 訪日旅行を扱う部門が、自社商品の素材として検討する
同じ手引きでは、ランドオペレーター等との商談に「観光コンテンツの企画内容や体験可能期間、販売手数料、お客様への注意事項等が記載されたコンテンツタリフ」と、体験施設等から使用許可を得た宣材写真が必要だとしています。
つまり、タリフが無い状態は「商品の存在は知ってもらえたが、見積もりに入れられない」状態です。旅行会社の担当者は多くの候補を比べているので、条件がすぐ読み取れる資料がある商品から先に検討されます。
入れるべき項目
決まった様式はありませんが、旅行会社が見積もりと手配に使う情報を漏れなく入れます。
| 項目 | 書く内容 | 抜けると起きること |
|---|---|---|
| 商品名・概要 | 英語の商品名と2〜3行の説明、体験の流れ | 何の商品か伝わらず候補に残らない |
| 価格 | NET価格とGROSS価格、税込か税抜か、子ども料金、人数区分 | 見積もりが作れない |
| 有効期間 | 例: 2027年4月1日〜2028年3月31日。季節区分があれば併記 | 古い価格のまま販売される |
| 受入可能日・時間 | 曜日、開始時刻、休業日、繁忙期の扱い | 受けられない日に予約が入る |
| 所要時間・人数 | 所要時間、最少催行人数、最大受入人数 | 行程に組めない・団体を断ることになる |
| 集合場所・アクセス | 住所、最寄り駅、バス駐車の可否 | 当日の遅刻・迷子 |
| 対応言語 | ガイドや説明の言語、通訳の要否 | 現地で意思疎通できない |
| 食事・アレルギー | 食事の有無、ベジタリアン・宗教食・アレルギーへの対応可否 | 受入当日のトラブル |
| キャンセル規定 | 何日前から何%の取消料か | 直前キャンセルの損失を回収できない |
| 精算方法 | 請求のタイミング、振込先、支払期限 | 入金が遅れる |
| 写真 | 使用許可を得た高解像度の写真 | 旅行会社がカタログに載せられない |
価格は「NET」「GROSS」のどちらなのかを表の見出しに書いておくと、読み違いを防げます。NETとGROSSの関係は NET価格・GROSS価格 で詳しく解説しています。
作るときの手順
- 原価と手残りを確定する。 材料費・人件費・保険・送迎などを積み上げ、最低いくら残れば続けられるかを決める。これがNET価格の下限になる
- 販売手数料を確認する。 取引先ごとの手数料率を聞き、NET価格からGROSS価格を逆算する
- 受入条件を決める。 最少催行人数、最大人数、受入可能日、雨天時の扱い、キャンセル規定。「できない条件」もはっきり書く
- 相手の言語で作る。 海外の旅行会社に渡すなら最低でも英語版。アジアの旅行会社が相手なら中国語(簡体字・繁体字)や韓国語版も検討する
- 写真の使用許可を整理する。 他人が撮影した写真や、施設の写真は、旅行会社が転載してよいかを確認しておく
- 有効期間を入れて配布する。 年度単位で作り、改定するときは版と日付を明記する
手引きによると、海外旅行会社の中には実際の販売の1年以上前から企画・募集を行うところもあります。来年の春の商品を、今年の商談会で売り込むくらいの時間感覚で準備します。
現場で起きやすい失敗
商談会で名刺とパンフレットを渡したら「タリフはありますか?」と聞かれた。パンフレットに値段が載っていると答えたら、話がそこで終わってしまった。
これは珍しくない場面です。一般向けのパンフレットに載っているのはGROSS価格だけで、旅行会社が必要とするNET価格や受入条件が書かれていません。担当者は見積もりを作れないので、検討が後回しになります。
ほかにも、次のような失敗がよくあります。
- NETとGROSSの区別がない。 「10,000円」とだけ書くと、旅行会社はそれを卸値と受け取ることがある。手数料を引かれると思っていた事業者との間で金額が食い違う
- 税込・税抜が書いていない。 消費税分の差で利益が消えることがある
- 有効期間が無い。 何年も前のタリフが旅行会社の手元に残り、古い価格で予約が入る
- キャンセル規定が無い。 直前の取消しでも取消料を請求する根拠がなくなる
- 直販サイトのほうが安い。 タリフに書いたGROSSより自社サイトの価格が安いと、旅行会社は売りにくくなる
似た言葉との違い
タリフ(運賃表・料金表): 単に「タリフ」と言うと、航空運賃や貸切バス運賃、ホテルの客室料金の表を指すことが多い言葉です。観光コンテンツの資料だと伝えたいときは「コンテンツタリフ」とセットで呼ぶと誤解がありません。
プロダクトシート(商品提案書): 商品の魅力や体験の流れを、写真中心で伝える資料です。タリフが「条件と価格の表」なら、プロダクトシートは「なぜこの商品を選ぶべきかを伝える資料」です。実務では両方をセットで渡すか、1つの資料にまとめます。
パンフレット・チラシ: 旅行者向けの販促物です。業者向けの条件が載っていないので、タリフの代わりにはなりません。
タリフの書き方を具体例で知りたい場合は、観光ノウハウの記事「コンテンツタリフとは?」(/blog/content-tariff-basics)も参考になります。
よくある質問
コンテンツタリフに決まった様式はありますか?
法令や業界団体で定められた統一様式はありません。取引先の旅行会社やランドオペレーターが独自の様式を指定してくる場合もあるので、その場合は相手の様式に合わせます。自分で作る場合は、価格(NET・GROSS)、有効期間、受入可能日、所要時間、催行人数、キャンセル規定、精算方法、写真を最低限そろえておくと、多くの取引先にそのまま渡せます。
小さな体験事業者でもタリフを作る必要がありますか?
旅行会社やランドオペレーター経由で販売したいなら、規模にかかわらず必要です。少人数のプライベートツアーやオーダーメイド旅行を手配する会社ほど、小さな体験を探しています。その際に条件が読み取れる資料があるかどうかで、提案の候補に入るかが決まります。OTAや直販だけで売る場合は必須ではありませんが、価格と条件を整理する作業はどの販路でも役立ちます。
宿泊や送迎を組み合わせたタリフを作ってもよいですか?
自分の施設や自分の体験を自分で提供する範囲であれば、通常は問題になりにくいとされます。一方、他社の宿泊や運送を組み合わせて一つの商品として販売する場合は、原則として旅行業の登録が必要になると国の手引きでも説明されています。組み合わせ商品を作りたいときは、登録を持つ旅行会社やランドオペレーターと組むか、都道府県の旅行業担当課や観光庁に事前に確認してください。
タリフは何語で作ればよいですか?
商談相手の国の言語で作るのが基本で、最低でも英語版を用意します。台湾・香港の旅行会社向けには繁体字、中国本土向けには簡体字、韓国向けには韓国語があると喜ばれます。機械翻訳を使う場合も、価格・人数・日付・キャンセル規定など数字と条件の部分は、ネイティブか取引経験のある人に確認してもらうと誤解を防げます。
関連する用語
出典・参考
- 国土交通省中部運輸局「訪日外国人旅行者向け 観光コンテンツ販路構築の手引き」(観光庁サイト掲載) — 海外旅行会社との商談にはコンテンツタリフが必須(p.21)、ランオペ等との商談に必要な記載項目(p.24)、商談会の準備物(p.36)、運送・宿泊を伴う販売には原則旅行業登録が必要(p.7)、1年以上前から企画・募集する旅行会社もある(p.21)
公開 2026.10.04 / 執筆: 一般社団法人Kachisai 事務局。定例会で会員事業者から受けた質問と、上記の一次情報をもとに作成しています。内容の誤りや古くなった情報はお問い合わせからお知らせください。
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