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二次交通Secondary Transportation
鉄道の主要駅や空港などの交通拠点と、目的の観光地・宿・体験場所を結ぶ交通アクセスのこと。路線バス・タクシー・送迎車・レンタカー・シェアサイクルなどが含まれる。拠点まで来られても、その先が無いと旅行は成立しない。
この用語の要点
- 新幹線や飛行機で拠点までは来られても、その先の「最後の移動」が無い・分かりにくいことで、地方の体験や宿は候補から外れやすい
- 国土交通省北陸信越運輸局の調査(2026年3月)は、駅・空港でタクシーを使えない、路線バスに乗り切れないといった事象を挙げ、二次交通の確保を「喫緊の課題」としている
- 宿泊施設やツアー事業者が利用者を送迎する場合、送迎に対する対価を受け取らなければ道路運送法の許可等は不要と国のガイドラインで整理されている
- 送迎の有無で料金に差を付ける場合も、差額が実費の範囲内なら許可等は不要。ただし送迎だけが実態の場合は許可等が必要
- 旅行会社やランドオペレーターに出す商品情報には、最寄りの拠点から現地までの行き方と所要時間・送迎の有無を必ず書く
二次交通とは何か
旅行者の移動は、大きく2段階に分けて考えられます。
- 一次交通: 自宅や海外から、地域の玄関口となる空港・新幹線駅・主要駅まで
- 二次交通: その玄関口から、目的の観光地・宿・体験場所まで
国土交通省東北運輸局の調査報告書は、二次交通を「鉄道主要駅や空港等の交通拠点と目的の観光地を結ぶ交通アクセス」と定義しています。北陸信越運輸局の2026年3月の報告書では「拠点となる空港や鉄道の駅から観光地までのタクシー等の移動手段」とし、あわせて、移動手段がない・使いづらい地域や、多客期に移動手段が不足する場合を含めて「交通空白」と呼んでいます。
調査によって定義の幅は少しずつ違いますが、共通するのは「拠点から先の移動」を指すという点です。
なぜ地方の体験が売れない理由になるのか
地方の体験は、内容が良くても「どうやって行くのか」が解決しないと売れません。
体験の評価は高いのに、問い合わせに返信すると「駅からどう行けばいいですか」と聞かれ、そこで話が止まってしまう。
これは地域の事業者からよく聞く話です。理由は、旅行者側と販売側の両方にあります。
- 個人旅行者(FIT)は、移動が不安な場所を避ける。 路線バスが1日数本、タクシーが駅にいない、乗り換え情報が日本語しかない、という状態では、予約前に候補から外れます
- 旅行会社は、移動が組めない商品をツアーに入れられない。 ランドオペレーター(ランドオペレーター)がツアーを組むとき、体験の前後の移動手段と所要時間が分からないと行程表が作れません
- 時間の読めなさが、他の予定を圧迫する。 移動に余裕を見る必要があると、1日に回れる箇所が減り、組み込みにくくなります
北陸信越運輸局の調査では、地域で想定される課題として、イベントなど一時的な需要増、駅から遠い温泉旅館への送迎、繁忙期のタクシー不足、観光客が少なく交通事業者がいない、夜間・早朝にタクシーが営業していない、運転手不足、ガイドが運転するツアーの実施判断基準が分からない、という7つを仮説として挙げています。いずれも、地方の事業者が日常的に直面している問題です。
送迎を付けるときの法律上の整理
自前で送迎を付けたいときに気になるのが、道路運送法です。お金を取って人を運ぶことは、原則としてバスやタクシーの許可が必要な事業にあたるためです。
国土交通省は2024年3月1日付で、許可・登録を要しない運送についての通達を1つの「ガイドライン」にまとめ直し、観光に関係する部分を次のように整理しました(通達は改正されることがあるため、最新版は国土交通省のページや運輸局で確認してください)。
- 宿泊施設の送迎: 利用者を対象に、送迎に対する対価(反対給付)がなければ許可等は不要。駅・空港との送迎途中のお土産屋への立ち寄り、近隣の観光スポットへの送迎、ホテル・旅館組合による共同送迎も可能
- ツアー・体験に付随する送迎: ツアー等の事業者が、利用者を近隣の駅・バス停・宿泊施設からツアー実施場所まで運ぶ場合、運送に対する対価がなければ許可等は不要
- 料金に差を付ける場合: 送迎の有無で宿泊料や利用料に差を設けても、その差額が運送に要する実費の範囲内であれば許可等は不要
- 注意点: ツアーやガイドと称していても、提供するサービスの実態が目的地への運送のみである場合は許可等が必要
「送迎代として1人いくら」を別に取る形や、送迎だけを売る形は、許可が必要になる可能性が高いと考えておくのが安全です。個別の判断は管轄の運輸局に確認してください。
送迎込みの商品をどう設計するか
まず「拠点からの行き方」を書き出す
最寄りの新幹線駅・主要駅・空港を1〜2か所決め、そこから現地までの手段を全部書き出します。
| 手段 | 確認すること |
|---|---|
| 路線バス | 1日の本数、最終便の時刻、乗り場、所要時間、運賃 |
| タクシー | 駅に常駐しているか、予約が要るか、夜間・早朝の営業 |
| 自社送迎 | 対応できる時間帯・人数・車両の定員、事前予約の締切 |
| レンタカー・シェアサイクル | 最寄りの貸出場所、外国の運転免許への対応 |
商品情報に「移動」を組み込む
プロダクトシート(商品提案書)(プロダクトシート)とタリフ(料金表)(タリフ)には、集合場所の住所と地図、拠点からの所要時間、送迎の有無と条件(「◯◯駅から無料送迎・前日までに要予約・最大8名」など)を明記します。旅行会社はこれを見て行程を組むので、ここが空欄だと提案に進めません。
地域でまとめて解く
1軒の事業者が送迎車を持つのは負担が大きいため、近隣の宿・体験事業者・交通事業者と組む方法があります。宿の送迎ルートに体験施設を入れてもらう、複数の施設で送迎を共同化する、地域のタクシー会社と観光客向けの予約枠を決めておく、などです。
二次交通は、1つの事業者だけでは解けない「面」の課題です。DMO(観光地域づくり法人)(観光地域づくり法人)や自治体が交通事業者と調整している地域も多いので、まず相談先として当たってみるのが近道です。
よくある誤解
「送迎はお金を取らなければ何でも自由」ではありません。 対価を取らない無償運送は道路運送法の規制外ですが、事故時の保険、運転者の確保、車両の定員など、安全面の責任は事業者にあります。
「交通が不便だから、うちには外国人は来ない」とも限りません。 移動手段そのものより、移動の情報が届いていないことが原因の場合があります。英語で書かれた行き方の案内、乗り場の写真、所要時間の目安があるだけで、問い合わせの段階で止まるケースは減らせます。
「二次交通=バスやタクシーの問題」と他人事にしない。 旅行者から見れば、移動も体験の一部です。駅で迎えてもらい、車中で地域の話を聞く時間は、それ自体が商品の価値になりえます。
よくある質問
二次交通と一次交通の違いは何ですか?
一般に、一次交通は出発地から地域の玄関口となる空港・新幹線駅・主要駅までの移動、二次交通はその玄関口から観光地・宿・体験場所までの移動を指します。地方の観光で課題になりやすいのは二次交通で、本数の少なさやタクシー不足、情報の分かりにくさが問題になります。
体験の参加者を駅まで車で送迎しても大丈夫ですか?
国土交通省のガイドラインでは、ツアー等の事業者が利用者を近隣の駅・宿泊施設からツアー実施場所まで運ぶ場合、運送に対する対価がなければ許可等は不要とされています。送迎料金を別に取る場合や、実態が運送のみの場合は許可等が必要になりえるため、管轄の運輸局に確認してください。
送迎ありと送迎なしで料金を変えてもいいですか?
国のガイドラインでは、運送サービスの有無で利用料や宿泊料に差を設ける場合でも、その差額が運送に要する実費(燃料費・有料道路使用料・駐車場代・保険料・車両借料など)の範囲内であれば許可等は不要と整理されています。実費を超える差額を付ける場合は、事前に運輸局に相談するのが安全です。
送迎車を用意できない小さな事業者は、どうすればいいですか?
まず路線バスやタクシーでの行き方を、所要時間と乗り場の写真付きで英語でも案内できるようにします。そのうえで、近隣の宿の送迎ルートに組み込んでもらう、ランドオペレーター経由の商品では移動を手配側に任せる、DMOや自治体に地域の交通の取り組みを相談する、といった方法があります。
関連する用語
出典・参考
- 国土交通省北陸信越運輸局「地方部における観光と二次交通の現状に関する調査 業務報告書」(令和8年3月) — p.4 二次交通・交通空白の定義、駅・空港でタクシーを利用できない等の事象と「喫緊の課題」との記述/p.6 想定される課題7点(仮説)
- 国土交通省東北運輸局 調査報告書 第2章「交通拠点と観光地を結ぶ二次交通の現状調査」 — 2.1 二次交通の定義「鉄道主要駅や空港等の交通拠点と目的の観光地を結ぶ交通アクセス」
- 国土交通省「道路運送法の許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」について — p.1 無償運送と実費の範囲/p.2 宿泊施設の付随送迎/p.3 ツアー&ガイドに付随する送迎/p.4 運送の有無で料金差を設ける場合
- 国土交通省「自家用有償旅客運送に関係する通達について」 — 「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて」(令和6年3月1日 国自旅第359号)の掲載ページ
公開 2026.10.10 / 執筆: 一般社団法人Kachisai 事務局。定例会で会員事業者から受けた質問と、上記の一次情報をもとに作成しています。内容の誤りや古くなった情報はお問い合わせからお知らせください。
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