Pricing & Terms

タリフ(料金表)Tariff

読み: たりふ別名: タリフ・料金表・運賃表・ホテルタリフ・レートシート

旅行業界で、宿泊・交通・食事・体験などの価格を、時期・人数・条件ごとに一覧にした業者向けの料金表。卸値(NET)や販売定価(GROSS)、有効期間、適用条件をまとめ、旅行会社やランドオペレーターが見積もりと手配に使う。

この用語の要点

  • タリフ(tariff)は英語で料金表・運賃表の意味。旅行業界では宿・バス・体験などの業者向け料金表を広く指す
  • 単に「タリフ」と言うと、ホテルの客室料金表や交通機関の運賃表を指すことが多い。体験やツアーの料金表は「コンテンツタリフ」と呼び分けると誤解がない
  • タリフの骨格は「有効期間」「季節区分」「料金区分(人数・年齢など)」「適用条件」の4つ
  • 貸切バスの運賃は道路運送法にもとづき国土交通大臣(各運輸局)へ届け出る仕組みで、時間制運賃とキロ制運賃の合算で計算される
  • 海外の旅行会社には販売の1年以上前から企画する会社もあるため、タリフは翌年度分を早めに用意する

タリフとは:旅行業界での意味

タリフ(tariff)は、英語で「料金表」「運賃表」を指す言葉です。一般には関税(輸入品にかける税)の意味でも使われますが、旅行業界でタリフと言えば業者向けの料金表のことです。

旅行会社が1本のツアーを組むとき、ホテル、バス、食事、ガイド、体験と、たくさんの仕入れ先の料金を足し合わせて見積もりを作ります。そのとき手元に置いて参照するのが、各仕入れ先から届いたタリフです。「この時期、この人数なら、この条件でいくら」が一目で分かる表になっていることが求められます。

一般向けのパンフレットや予約サイトに出ている値段とは役割が違います。パンフレットは旅行者に「買いたい」と思ってもらうためのもの、タリフは旅行会社が「見積もりに入れられる」ようにするためのものです。

タリフの種類:宿・交通・観光コンテンツ

旅行の仕入れ先ごとに、タリフにはいくつかの種類があります。

種類中身の例主な読み手
ホテル・旅館のタリフ部屋タイプ別・季節別の客室料金、食事の有無、子ども料金旅行会社、ランドオペレーター
交通のタリフ(運賃表)貸切バスの車種別料金、ハイヤー・送迎の料金旅行会社、ランドオペレーター
観光コンテンツのタリフ体験・ガイドツアー・食事・入場の卸値と受入条件旅行会社、ランドオペレーター

昔から「タリフ」と呼ばれてきたのは、上の2つ(宿と交通)です。体験やガイドツアーのような観光コンテンツについて同じ形の表を作ったものは、コンテンツタリフ と呼ぶのが一般的です。地域の体験事業者が旅行会社に「タリフをください」と言われたら、ほぼこのコンテンツタリフのことです。

運賃表としてのタリフ:貸切バスの例

交通の料金は、業界の慣習だけでなく制度で決まっている部分があります。国土交通省の資料によると、貸切バス事業者は道路運送法にもとづき、運賃・料金を定めてあらかじめ国土交通大臣(各運輸局等)に届け出る必要があります。

運賃は「時間制運賃」と「キロ制運賃」を合算する時間・キロ併用制で、車種は大型・中型・小型の3区分です。時間制運賃は、走行時間に出庫前・帰庫後の点検等の2時間を加えて計算し、最低は3時間とされています。さらに深夜早朝運行料金、特殊車両割増料金、交替運転者配置料金といった料金があり、ガイド料・有料道路利用料・駐車料・乗務員宿泊料などは実費を旅客が負担する、という構成です。

体験事業者がバス送迎付きのプランを考えるときは、自分の体験の料金だけでなく、こうした運賃の考え方で移動費が別にかかることを前提に、旅行会社と相談します。

タリフを作る・読むときの骨格

インバウンド集客の4つのアプローチB2B/B2C と Sales/Marketing の2軸で整理した4つのアプローチ。①コンテンツタリフの提示(B2B×Sales)②OTA活用(B2C×Sales)③FAMトリップ・インフルエンサー招聘(B2B×Marketing)④メディア取材・PR(B2C×Marketing)。B2B 旅行会社・ランドオペレーターに向けてTravel TradeB2C 旅行者本人に向けてDirect to Consumer売るSales商品として買ってもらう伝えるMarketing知ってもらい、信頼を得る①コンテンツタリフの提示NET価格・GROSS価格・キャンセルポリシー・所要時間・収容人数を明記したタリフとプロダクトシートを渡し、旅行会社のツアーに組み込みやすい状態をつくる②OTA活用Viator・GetYourGuide・Booking.com などに掲載。部屋や料理の写真ではなく「どんな体験が得られるか」を英語のタイトルと説明で見せ、FITに直接届ける③FAMトリップ・インフルエンサー招聘売るプロ(旅行会社)には下見に来てもらい定番コースへの組み込みを狙う。伝えるプロ(インフルエンサー)はターゲット国のSNSに合わせて招き、認知を広げる④メディア取材・PRJNTOの海外メディアツアーや英字媒体へのプレスリリースで第三者に取り上げてもらう。掲載実績は①の商談で信頼の「証拠」として効くどれか1つではなく、①の準備(タリフ)を土台に②〜④を組み合わせる。2026-08-10 Kachisai定例会セミナーより
インバウンド集客の4つのアプローチ(B2B/B2C × 売る/伝える)。2026-08-10 Kachisai定例会セミナーの図を再作成

タリフは、旅行会社へ商品として提案する「タリフ提示」(上の図の左上)の中心になる書類です。業種が違っても、骨格はおおむね次の4つです。

  1. 有効期間: 「2027年4月1日〜2028年3月31日」のように、いつからいつまで有効な価格かを書く。年度単位が多い
  2. 季節区分: 繁忙期・通常期・閑散期などに分け、それぞれの期間と価格を書く。年末年始や連休、地域の祭りの時期を個別に指定することもある
  3. 料金区分: 大人・子ども、人数帯(例: 2〜5名、6〜10名)、部屋タイプや車種など、価格が変わる条件
  4. 適用条件: 最少催行人数、キャンセル規定、税込・税抜の別、NET(卸値)かGROSS(販売定価)か、含まれるもの・含まれないもの

このうち一番抜けやすいのが有効期間です。中部運輸局が作成し観光庁サイトに掲載されている販路構築の手引きでは、海外旅行会社の中には実際の販売の1年以上前から企画・募集を行うところもある、と書かれています。今年の価格表だけを渡しても、旅行会社が企画しているのは来年のツアーかもしれません。翌年度の価格を決めておき、有効期間を明記して渡すことで、検討の土台に乗りやすくなります。

NETとGROSSの関係は NET価格・GROSS価格、手数料の考え方は コミッション(販売手数料) で詳しく解説しています。

現場で起きやすい失敗

去年渡したタリフの値段で予約が入った。値上げしたことを伝えたつもりだったが、旅行会社の手元には古い表が残っていた。

タリフは一度渡すと、旅行会社の社内で長く参照されます。よくある失敗は次のようなものです。

  • 有効期間を書いていない。 古い価格のまま見積もりに使われる。改定時は版と日付を入れ、旧版が無効になる日も書く
  • 季節区分の境目があいまい。 「夏休み期間」とだけ書くと、旅行会社と事業者で日付の認識がずれる。日付で区切る
  • 税込か税抜か書いていない。 消費税分の差で手残りが消えることがある
  • 年度の途中で価格を変える。 旅行会社のツアー価格は年単位で決まっていることが多く、途中の値上げは受け入れてもらえないことがある。原価の上昇が見込まれるなら、改定のタイミングを年度の切り替えに合わせる
  • 一般向けの値段とタリフの値段が逆転している。 自社サイトで旅行会社の販売価格より安く売っていると、旅行会社は売りにくくなる

似た言葉との違い

コンテンツタリフ: 観光コンテンツ(体験・ガイドツアーなど)のタリフ。価格に加えて受入可能日、所要時間、催行人数、集合場所などの受入条件まで書くのが特徴です。この用語集では、作り方と必須項目を コンテンツタリフ で解説しています。

プロダクトシート(商品提案書): 商品の魅力や体験の流れを写真中心で伝える資料。タリフが「価格と条件の表」なら、プロダクトシートは「選ぶ理由を伝える資料」で、営業ではセットで渡します。

関税(tariff): 英語のtariffには輸入品にかかる税の意味もあります。英文のニュースで tariff と出てきたら、多くは関税の話です。旅行会社とのメールで tariff と書かれていれば料金表のことです。

レートシート(rate sheet): 英語圏の旅行会社やホテルとのやり取りで、タリフとほぼ同じ意味で使われることがあります。相手がどちらの言葉を使っても、中身は「条件別の料金表」だと考えて差し支えありません。

よくある質問

タリフとコンテンツタリフは何が違うのですか?

タリフは業者向け料金表の総称で、単独で使うとホテルの客室料金表や交通の運賃表を指すことが多い言葉です。体験やガイドツアーなど観光コンテンツの料金表をタリフの形で作ったものがコンテンツタリフで、価格に加えて受入可能日や催行人数などの受入条件まで書くのが特徴です。

タリフの有効期間は、どのくらいで設定するのが一般的ですか?

年度単位(4月〜翌3月)や暦年単位で作ることが多く、旅行会社のツアー企画の周期に合わせます。海外の旅行会社には販売の1年以上前から企画する会社もあるため、今年度の表に加えて翌年度の価格も早めに決めておくと、商談の場で検討してもらいやすくなります。

季節区分はいくつに分ければよいですか?

決まりはありません。繁忙期・通常期・閑散期の3区分が分かりやすい一方、区分を増やしすぎると旅行会社が見積もりを作る手間が増えます。地域の祭りや紅葉など需要が集中する時期だけを別にし、それ以外はなるべくまとめるのが現実的です。区分の境目は必ず日付で書きます。

旅行会社から英語で「tariff」を送ってほしいと言われました。何を送ればいいですか?

体験やツアーを提供している事業者なら、英語版のコンテンツタリフを送ります。最低限、NET価格とGROSS価格、有効期間、所要時間、最少・最大人数、キャンセル規定、集合場所を入れます。宿泊施設なら部屋タイプ別・季節別の客室料金表です。どちらを求められているか分からない場合は、相手に一言確認すると確実です。

出典・参考

  1. 国土交通省 北陸信越運輸局「貸切バスの運賃・料金の見直しについて」(令和5年9月4日) — 道路運送法にもとづく運賃・料金の届出(p.6)、標準適用方法: 車種3区分・時間・キロ併用制・料金の種類・実費負担(p.7)、最低3時間・点検等2時間の加算(p.8)
  2. 国土交通省中部運輸局「訪日外国人旅行者向け 観光コンテンツ販路構築の手引き」(観光庁サイト掲載) — 海外旅行会社との商談にはコンテンツタリフが必須、販売の1年以上前から企画・募集を行う旅行会社もある(p.21)

公開 2026.10.06 / 執筆: 一般社団法人Kachisai 事務局。定例会で会員事業者から受けた質問と、上記の一次情報をもとに作成しています。内容の誤りや古くなった情報はお問い合わせからお知らせください。

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