Pricing & Terms

キャンセルポリシーCancellation Policy

読み: きゃんせるぽりしー別名: 取消料規定・取消規定・キャンセル規定・キャンセル料・取消料

予約の取消しや人数の減少、無連絡の不参加が起きたときに、取消しの時期に応じて何割の取消料がかかり、いくら返金するかを事前に定めたルール。天候不良や最少催行人数に届かない場合の扱いも含めて示す。

この用語の要点

  • 「いつまでの取消しなら無料か」「何日前から何割か」「当日・無連絡不参加はどうか」の3点が骨格。天候不良と催行中止の扱いは別に書く
  • 日本の旅行会社が標準旅行業約款に沿って契約する場合、旅行者から受け取れる取消料には上限がある(国内の募集型企画旅行は20日前以降20%以内など)。事業者の規定がそれより厳しいと、旅行会社が組み込みにくい
  • OTAではViatorの標準ポリシーが「開始24時間前までの取消しは全額返金」。旅行者は取消しやすさを重視して予約する
  • 旅行会社向け(タリフ)とOTA向けで規定が違ってよい。ただし、どの販路にどの規定を出したかを一覧で管理する
  • 取消料・催行中止・違約金は別の概念。高すぎる取消料は法律上の問題になる場合があるので、迷ったら専門家に確認する

キャンセルポリシーとは:取消しのときのお金のルール

キャンセルポリシー(Cancellation Policy)は、予約が取り消されたときに「いつまでなら無料で、いつから何割かかるか」を決めたルールです。日本語の業界用語では「取消料規定」「取消規定」とも言います。

体験や宿泊の事業者は、予約を受けた時点で人員を確保し、食材を仕入れ、ほかの予約を断っています。直前に取り消されると、その準備が無駄になり、空いた枠を埋め直すこともできません。キャンセルポリシーは、この損失の一部を取消料として受け取るための取り決めです。

一方で、旅行者や旅行会社にとっては「どこまで気軽に予約できるか」を判断する材料です。厳しすぎるポリシーは予約をためらわせ、緩すぎると事業者が損をかぶります。どこで線を引くかは、商品の性質と販路によって変わります。

販路によって求められる形が違う

インバウンドの商流(3ルート)海外の旅行者が地域の事業者に届くまでの3つのルート。①海外の旅行会社→日本のランドオペレーター→事業者(NET価格で取引)、②旅行者→OTA→事業者(コミッション発生)、③旅行者→SNS・自社サイト→事業者(直販)。① 旅行会社経由団体・富裕層・オーダーメイド志向の個人旅行者海外の旅行会社取引はNET価格(卸値)日本のランドオペレーター② OTA経由自分で検索して予約する個人旅行者(FIT)海外の旅行者(FIT)予約ごとにコミッション(手数料)OTABooking.com・Viator・GetYourGuide など③ 自社直販若い世代・リピーター・SNSで見つける旅行者海外の旅行者(FIT)手数料は決済分のみSNS・自社サイト・メディア記事地域の観光事業者(宿泊・飲食・体験・物販)ポイント・ターゲットによって使う商流が変わる。欧米豪の富裕層・家族連れは①、アジア圏や若い世代の個人旅行者は②③が中心・訪日旅行者の約9割は個別手配(観光庁 インバウンド消費動向調査 2025年年次報告書)。それでも①を外せないのは1人あたり消費額が大きいため・「OTAだけで十分」と決めず、①と②③の両方の入口を用意するのが基本
インバウンドの商流(3ルート)。キャンセルポリシーは①旅行会社経由と②OTA経由で求められる形が違う。2026-08-10 Kachisai定例会セミナーの図を再作成

旅行会社・ランドオペレーター経由(①)

旅行会社は、事業者の商品を自社のツアーに組み込み、旅行者と契約します。日本の旅行会社が旅行者と結ぶ契約には、観光庁と消費者庁が公示する「標準旅行業約款」というひな形があり、これに沿った契約では旅行者が払う取消料の上限が決まっています。国内旅行の募集型企画旅行(パッケージツアー)では次のとおりです。

取消しの時期旅行者が払う取消料の上限
旅行開始日の前日から数えて20日前以降(日帰りは10日前以降)旅行代金の20%以内
7日前以降30%以内
前日40%以内
当日50%以内
旅行開始後・無連絡不参加旅行代金の全額以内

約款では、旅行者に不利な特約は結べないとされています。つまり旅行会社は、事業者から「30日前から全額」と言われても、それをそのまま旅行者に請求できない場合があります。差額を旅行会社がかぶる形になるため、取消料が厳しい商品はツアーに組み込みにくいと判断されがちです。事業者と旅行会社の間の取消料は個別の取り決めですが、この上限を知っておくと話が早くなります。

OTA経由(②)

Viatorは、取消しの扱いを「標準」「カスタム」「全額返金なし」の3種類に分けています。標準は「開始24時間前までに取り消せば全額返金」です。Viatorは事業者向けの資料で、柔軟な取消しと予約変更のしやすさが、特に早い時期の予約で最も重視される要素だとしています。

書き方の実務:入れるべき項目

タリフ(タリフ(料金表))とプロダクトシート(プロダクトシート(商品提案書))には、次の項目をそろえて書きます。

  1. 取消料の段階: 「◯日前まで無料/◯日前から◯%/前日◯%/当日・無連絡不参加◯%」。日数は「体験日の何日前の何時まで(日本時間)」まで書く
  2. 人数が減った場合: 一部の参加者だけの取消しに同じ率をかけるか。貸切や最低料金がある商品は特に明記する
  3. 事業者側の都合による中止: 天候不良、最少催行人数に届かない、災害などで中止したとき、全額返金か、代替日を提案するか
  4. 判断の時刻: 雨天時に中止を決める時刻と連絡方法
  5. 返金の方法: 誰が、いつまでに、どの手段で返すか。手数料の負担

旅行会社向けとOTA向けで規定を変えるのは珍しくありません。 旅行会社のツアーは数か月前から手配が固まり、OTAは直前予約が多いからです。ただし、どの販路にどの規定を出しているかを1枚の表で管理しておかないと、問い合わせのたびに答えがずれます。

計算例と、現場で起きやすい失敗

NET価格(NET価格・GROSS価格)1人8,000円の体験に、旅行会社経由で10名の予約が入ったとします。規定が「7日前から30%、前日50%、当日・無連絡不参加は全額」なら、次のようになります。

状況取消料の計算受け取る額
10日前に全員取消し規定の対象外0円
5日前に2名減8,000円×2名×30%4,800円
当日に1名が来ない8,000円×1名×全額8,000円
「OTAは24時間前まで無料なのに、旅行会社には7日前から取消料と書いていいのか」

販路を増やし始めた事業者が迷いやすい点です。販路ごとに規定が違うこと自体は問題になりにくく、大切なのはそれぞれの相手に事前に書面で示しておくことです。

よくある失敗は次のとおりです。

  • ポリシーを書いていない: 取消しが起きてから交渉になり、取引先との関係が悪くなる
  • 天候中止の扱いがない: 雨で中止したのに取消料を請求してよいか分からず、結局すべて返金する
  • 資料ごとに内容が違う: タリフは「3日前」、OTAの商品ページは「24時間前」、プロダクトシートは記載なし
  • 団体の人数減を想定していない: GIT(団体旅行)(団体旅行)で直前に大幅に人数が減り、手配したバスや食事の費用が残る

似た言葉との違い

取消料と違約金: 取消料は旅行者の都合による取消しの対価、違約金は契約違反に対する支払いを指すことが多い言葉です。標準旅行業約款では、旅行代金を期日までに払わない場合に、取消料に相当する違約料を払う形も定められています。

催行中止: 事業者側が実施を取りやめることです。最少催行人数に届かない、天候不良などが理由で、通常は旅行者に取消料はかかりません。キャンセルポリシーとは別の項目として書きます。

返金不可(ノンリファンダブル): 予約時点から取消料が全額かかる設定です。価格を下げる代わりに取消しを受け付けない売り方ですが、OTAでは予約が入りにくくなる場合があります。

消費者向けの取消料があまりに高いと、法律上その一部が無効とされる場合があります。規定を作るときや迷う事例が出たときは、消費生活センターや弁護士などの専門家に確認してください。

よくある質問

キャンセルポリシーは何日前から設定するのが一般的ですか?

決まった正解はありません。OTAではViatorの標準が「24時間前まで全額返金」です。旅行会社向けは、仕入れや人員の手配にかかる日数から逆算して決めます。国内の募集型企画旅行では旅行会社が旅行者から取れる取消料が20日前(日帰りは10日前)以降に始まるため、それより早い時期から取消料を求めると組み込みにくくなります。

雨で体験を中止した場合、取消料はもらえますか?

事業者側の判断で中止した場合は、取消料を受け取らず全額返金とするのが、旅行会社や旅行者にとって分かりやすい扱いです。代替日の提案や屋内プログラムへの切り替えをするなら、その条件もポリシーに書いておきます。中止を決める時刻と連絡方法を決めておくと、旅行会社も旅行者も動きやすくなります。

英語ではどう書けばよいですか?

日数と率を表にすると伝わりやすくなります。例えば「Free cancellation up to 7 days before the activity date (Japan time)」「50% charge for cancellations the day before」「No refund for no-shows」のように、時期・割合・基準となる時刻をそれぞれ短い文で書きます。日本語版と内容が食い違わないように、両方を並べて確認します。

途中でキャンセルポリシーを変えてもよいですか?

これからの予約に新しい規定を適用することはできますが、すでに受けた予約には、予約時に示した規定が適用されると考えるのが基本です。旅行会社は1年単位でツアーを組むことが多いため、変更する場合は早めに知らせ、タリフの有効期間の切り替えに合わせると混乱が少なくなります。

出典・参考

  1. 観光庁「標準旅行業約款」(最終改正 令和8年3月9日・令和8年4月1日から適用) — 募集型企画旅行契約の部 第1条第2項(旅行者の不利にならない範囲での特約)、別表第一「国内旅行に係る取消料」(20日前〔日帰り10日前〕以降20%以内・7日前以降30%以内・前日40%以内・当日50%以内・開始後/無連絡不参加は旅行代金の全額以内)(p.1, p.10)、受注型企画旅行の第17条第2項(期日までに支払わない場合の違約料)(p.17)
  2. Viator Partner Resources「Cancellation policies and processes」 — 取消ポリシーの種類(STANDARD / CUSTOM / ALL_SALES_FINAL)、標準の例「For a full refund, cancel at least 24 hours before the scheduled departure time」、柔軟な取消しと予約変更が最も重要な予約要因であるとの記述、天候不良・人数不足の扱いの項目

公開 2026.10.08 / 執筆: 一般社団法人Kachisai 事務局。定例会で会員事業者から受けた質問と、上記の一次情報をもとに作成しています。内容の誤りや古くなった情報はお問い合わせからお知らせください。

言葉の意味は分かった。次は、自分の事業で使えるようにしたい方へ。

Kachisaiは、地域の観光事業者が集まり、コンテンツづくりから旅行会社・OTAとの取引まで、専門家と仲間と一緒に手を動かすコミュニティです。毎週日曜20時にオンラインで無料説明会を開いています。

用語集の一覧へ →