Policy & Data
JNTO(日本政府観光局)Japan National Tourism Organization
正式名称は独立行政法人 国際観光振興機構。海外における観光宣伝、外国人観光旅客への観光案内など、訪日外国人旅行者の来訪促進に必要な業務を行い、国際観光の振興を図ることを目的とする機関。1964年に日本の政府観光局として発足した。
この用語の要点
- JNTOは独立行政法人 国際観光振興機構の通称。組織概要では世界26都市に海外事務所を置き、現地の旅行会社・メディア・消費者に日本を売り込む
- 観光庁が政策・制度・予算を担う国の行政機関なのに対し、JNTOは海外での宣伝・誘致の実働部隊という位置づけ
- 地域の事業者が関わる入口は、商談会・旅行会社やメディアの招請(FAM)・JNTOの媒体での情報発信など。多くは自治体やDMOを通じて参加する
- 自治体・企業向けの有料の受託事業(助言・招請支援・セールス支援・商談会集客)と、本部での1時間程度の無料相談がある
- 民間企業向けの会員サービスは年会費300,000円(税別)。2026年12月〜2027年3月は新規入会の受付を停止している(2026年10月時点の公式ページ)
JNTOとは:海外で日本を売り込む政府観光局
JNTO(ジェイエヌティーオー)は Japan National Tourism Organization の略で、日本語では「日本政府観光局」と呼ばれます。正式名称は独立行政法人 国際観光振興機構です。東京オリンピックが開かれた1964年に日本の政府観光局として発足し、現在の法人の設立日は2003年(平成15年)10月1日です。
法律上の目的は「海外における観光宣伝、外国人観光旅客に対する観光案内その他外国人観光旅客の来訪の促進に必要な業務を効率的に行うことにより、国際観光の振興を図ること」とされています。組織概要に挙げられている主な業務は次のとおりです。
最大の特徴は海外事務所のネットワークです。組織概要では世界26都市に海外事務所があるとされ、各事務所が現地の旅行会社・メディア・一般消費者に向けて日本の情報を発信しています。
観光庁との違い
「観光庁とJNTOは何が違うのか」は、事業者からよく出る疑問です。大まかには次のように分けると理解しやすくなります。
| 観光庁 | JNTO(日本政府観光局) | |
|---|---|---|
| 立場 | 国の行政機関 | 独立行政法人 |
| 主な仕事 | 観光政策・制度づくり、補助事業、統計 | 海外での宣伝・誘致、商談会や招請の実施、訪日客向け情報発信 |
| 主な相手 | 自治体・DMO・業界全体 | 海外の旅行会社・メディア・旅行者、国内の自治体・DMO・企業 |
| 拠点 | 国内 | 国内の本部+海外事務所 |
事業者の立場で言い換えると、補助金や制度の話は観光庁、海外の旅行会社やメディアとの接点の話はJNTOが窓口になることが多い、ということです。どちらも年度ごとに事業の中身が変わるため、最新の公募や募集は各公式サイトで確認します。
地域の観光事業者が関われる事業
海外への売り込みを、タリフ提示・OTA活用・FAM・メディアPRの4つのアプローチで整理すると、JNTOの事業はOTA以外の3つに関わってきます。
- 商談会: 海外の旅行会社などのバイヤーと日本のセラーが商談する場。JNTOが主催する大型の商談会や、海外で開く商談会がある(詳しくはインバウンド商談会)
- 旅行会社・メディアの招請: 海外の旅行会社の企画担当者やメディアを日本に招き、現地を体験してもらう(詳しくはFAMトリップ)
- 広報・情報発信: 海外事務所による現地メディアへの情報提供や、JNTOのWebサイト・SNSでの地域の体験の紹介(詳しくはメディアPR・プレスリリース)
ここで知っておきたいのは、個々の小さな事業者がJNTOに直接申し込む形の事業は多くないということです。招請の受け入れ先選びや、情報発信用の素材の募集は、自治体やDMOを通じて行われることが一般的です。地域のDMO・観光協会に「JNTOの事業で受け入れ先や素材を探していたら声をかけてほしい」と伝えておくのが、最も現実的な入口です。
有料の受託事業と、会員・賛助団体の制度
地域へのインバウンドサポート受託事業
JNTOは自治体・企業向けに、海外事務所の知見を使った有料の支援を行っています。公式ページのメニューは次の4つです。
- インバウンドに関する助言(施策への助言、海外目線での観光資源の評価、現地視察)
- 海外の旅行会社・メディアの招請支援
- 海外の旅行会社へのセールス活動の支援(訪問先の選定・アポイント取得)
- 海外でのセミナー・商談会への集客支援
費用はコンサルティング料(1時間あたり5,500円など)、管理費(全体経費の20%)、旅費の実費などで構成され、会員・賛助団体は管理費が15%になるなどの割引があります。このほか、インバウンド事業に携わる、または携わろうとする自治体・企業等を対象に、本部で1時間程度の無料相談(訪日インバウンド旅行の動向の説明)があります。
会員サービスと賛助団体制度
- 会員サービス: 日本で法人登記があり、直近1年分の財務諸表を提出できる企業が対象。年会費300,000円(税別)、入会金なし。海外PR・海外セールス支援・市場情報の提供などを受けられる。2026年12月〜2027年3月は新規入会の受付を停止と公式ページに記載がある
- 賛助団体制度: 主に自治体、DMO・観光協会、業界団体、公共性の高い民間事業者向けの寄附の制度。金額は団体の規模などに応じてJNTOから期待額が示される
一人で事業をしている事業者が、いきなり会員になる必要はありません。まずは無料相談や、自治体・DMO経由の事業参加で十分です。
具体例:JNTOの事業に「乗る」までの流れ
ある町の体験事業者が、欧州の旅行会社に自分の体験を知ってもらいたいと考えたとします。現実的な流れは次のようになります。
- 体験のコンテンツタリフと英語のプロダクトシート(商品提案書)を用意する(NET価格・所要時間・人数・キャンセル条件・写真)
- 地域のDMOに資料を渡し、「海外の旅行会社やメディアの招請があれば受け入れられる」と伝える
- DMOや県がJNTOと連携して招請事業を実施する際、視察先の候補に入る
- 招請当日は、実際の所要時間・言語対応・食事対応を見せる
- 招請後、参加した旅行会社やその日本側の手配会社に、資料と写真を送り直す
JNTOに直接メールを送って売り込めばいいのか。
JNTOは特定の事業者の商品を販売する立場ではないため、直接の売り込みよりも、地域の窓口を通じて事業に参加するほうが成果につながりやすい、というのが実務上の感覚です。どうしても方向性を相談したい場合は、無料相談の枠を使うのが筋です。
よくある誤解
「JNTOに登録すると海外から予約が来る」わけではありません。 JNTOは旅行会社でもOTAでもなく、予約や販売の仲介はしません。旅行者や旅行会社が実際に予約する先は、旅行会社・ランドオペレーター・OTA・事業者の自社サイトです。JNTOの役割は「日本や地域を知ってもらうきっかけ」をつくることです。
「JNTO=統計の機関」というだけでもありません。 毎月の訪日外客数の推計で名前を見ることが多いですが、本業は海外での宣伝と誘致です。統計は市場を読むための材料として活用し、事業として関わるなら商談会・招請・情報発信のどこに乗れるかを考えます。
「JNTO」と「JTB」などの旅行会社名を混同しない。 略称が似ていますが、JNTOは公的な機関で、民間の旅行会社とは別です。
よくある質問
JNTOと観光庁は、どちらに相談すればいいですか?
補助金・制度・統計など政策に関わることは観光庁、海外の旅行会社やメディアとの接点、海外市場の動向といった誘致の実務に関わることはJNTOが窓口になることが多いです。ただ、小さな事業者の場合は、まず地域のDMO・観光協会や自治体の観光担当に相談すると、どちらの事業につなげるべきかを整理してもらえます。
個人事業の体験事業者でも、JNTOの事業に参加できますか?
事業によります。招請の受け入れ先や情報発信の素材は、自治体やDMOを通じて募集されることが多く、その経路なら個人事業者の体験が選ばれることもあります。有料の受託事業は自治体・企業等が対象で、会員サービスは日本で法人登記があり財務諸表を提出できる企業が対象です。参加条件は事業ごとに公式ページで確認してください。
JNTOの会員になると、どんなメリットがありますか?
公式ページでは、海外事務所のネットワークを使った海外PR、海外セールス支援、訪日旅行市場に関する情報提供などが挙げられています。年会費は300,000円(税別)で、受託事業の割引もあります。なお2026年12月〜2027年3月は新規入会の受付を停止しているため、検討する場合は時期と条件を公式ページで確認してください。
JNTOの統計は、事業者がどう使えばいいですか?
JNTOは国・地域別の訪日外客数などを公表しています。自分の地域に来ている国籍と、全国で伸びている国籍を見比べると、英語・中国語などどの言語の資料を優先すべきか、どの国の旅行会社に話を持っていくべきかの判断材料になります。数字は推計値と確定値で更新されるので、出典の時点を添えて使うことが大切です。
関連する用語
出典・参考
- JNTO(日本政府観光局)「組織概要」 — 正式名称、1964年の発足、設立日(平成15年10月1日)、法律上の目的、主な業務、海外事務所(世界26都市)
- JNTO「地域へのインバウンドサポート受託事業」 — 4つのメニュー、無料相談(本部で1時間程度)、費用構成(コンサルティング料5,500円/時など・管理費20%、会員等は15%)
- JNTO「賛助団体制度と会員サービス」 — 会員サービスの対象・年会費300,000円(税別)・特典、2026年12月〜2027年3月の新規入会受付停止、賛助団体制度の対象
- JNTO「MICEの誘致・開催支援」 — 国際会議の誘致・開催支援、海外でのインセンティブセミナー・商談会など、MICE分野の事業
公開 2026.10.14 / 執筆: 一般社団法人Kachisai 事務局。定例会で会員事業者から受けた質問と、上記の一次情報をもとに作成しています。内容の誤りや古くなった情報はお問い合わせからお知らせください。
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