Sales & Marketing

メディアPR・プレスリリースMedia Relations

読み: めでぃあぴーあーる・ぷれすりりーす別名: メディアPR・プレスリリース・広報・PR・メディアリレーションズ・取材誘致・press release

新聞・雑誌・テレビ・Webメディアなどの第三者に、自社の商品や取り組みを記事・番組として取り上げてもらうための広報活動。プレスリリースは、そのために報道関係者へ送る「ニュースの要点をまとめた資料」を指す。

この用語の要点

  • 広告は「お金を払って載せる」、メディアPRは「記者・編集者が価値を判断して載せる」。第三者の評価なので信頼につながりやすい
  • インバウンドでは、掲載実績そのものが旅行会社・ランドオペレーターへのB2B営業の「証拠(フック)」になる
  • 海外メディアに届く主な経路は、JNTO海外事務所による広報・取材支援とメディア招請。地域の情報はJNTOのWebサイトで発信される枠もある(応募は自治体・DMO経由)
  • プレスリリースは「何が新しいか」を1行目で言い切る。ニュースのない宣伝文は読まれない
  • 掲載は約束されない。載ったときに「どこで・何が」掲載されたかを記録し、営業資料に転用するところまでが仕事

メディアPRとプレスリリースとは

メディアPRは、新聞・雑誌・テレビ・Webメディア・旅行ガイドブックといった第三者のメディアに、自分たちの体験や施設、地域の取り組みを取り上げてもらう活動です。英語では Media Relations(メディアリレーションズ)とも呼ばれ、記者や編集者との関係づくりも含みます。

プレスリリースは、その入口になる資料です。報道関係者に向けて「こういう新しい出来事があります」と、ニュースの要点を1〜2枚にまとめたもので、取材や掲載を検討してもらうきっかけになります。

広告との違いは、載るかどうかを決めるのが自分ではない点です。広告は費用を払えば決めた枠に決めた表現で載りますが、メディアPRでは記者・編集者が「読者にとって価値がある」と判断したときだけ記事になります。そのぶん、読者からは「第三者が選んだ情報」として受け取られ、信頼につながりやすいのが特徴です。

4つのアプローチの中での位置づけ

インバウンド集客の4つのアプローチB2B/B2C と Sales/Marketing の2軸で整理した4つのアプローチ。①コンテンツタリフの提示(B2B×Sales)②OTA活用(B2C×Sales)③FAMトリップ・インフルエンサー招聘(B2B×Marketing)④メディア取材・PR(B2C×Marketing)。B2B 旅行会社・ランドオペレーターに向けてTravel TradeB2C 旅行者本人に向けてDirect to Consumer売るSales商品として買ってもらう伝えるMarketing知ってもらい、信頼を得る①コンテンツタリフの提示NET価格・GROSS価格・キャンセルポリシー・所要時間・収容人数を明記したタリフとプロダクトシートを渡し、旅行会社のツアーに組み込みやすい状態をつくる②OTA活用Viator・GetYourGuide・Booking.com などに掲載。部屋や料理の写真ではなく「どんな体験が得られるか」を英語のタイトルと説明で見せ、FITに直接届ける③FAMトリップ・インフルエンサー招聘売るプロ(旅行会社)には下見に来てもらい定番コースへの組み込みを狙う。伝えるプロ(インフルエンサー)はターゲット国のSNSに合わせて招き、認知を広げる④メディア取材・PRJNTOの海外メディアツアーや英字媒体へのプレスリリースで第三者に取り上げてもらう。掲載実績は①の商談で信頼の「証拠」として効くどれか1つではなく、①の準備(タリフ)を土台に②〜④を組み合わせる。2026-08-10 Kachisai定例会セミナーより
海外販路づくりの4つのアプローチ。メディアPRは右下(B2C×Marketing)

地域の観光事業者が海外の販路をつくる方法は、B2B(旅行会社向け)とB2C(旅行者向け)、Sales(売る)とMarketing(知ってもらう)の組み合わせで4つに整理できます。①タリフ提示、②OTA活用、③FAMトリップ・インフルエンサー招請、④メディアPRです。

メディアPRは「旅行者に向けて、第三者の口から魅力を伝えてもらう」位置にあります。直接の予約にすぐ結びつくとは限りませんが、他の3つを後押しする役割を持ちます。

  • OTAの商品ページに「〇〇誌で紹介」と書ける
  • 旅行会社への提案で、掲載記事を添えて「海外の読者に関心を持たれている」と示せる
  • FAMで来た旅行会社の担当者が、社内で企画を通すときの材料になる

特に大きいのが2つ目です。旅行会社やランドオペレーターは、無名の体験をツアーに組み込むことにリスクを感じます。掲載実績はそのリスクを下げる「証拠」になり、B2B営業のフックとして働きます。

海外メディアに届く経路:JNTOの取材支援と情報発信

地域の小さな事業者が、海外の編集部に直接プレスリリースを送って取材を取り付けるのは簡単ではありません。現実的な経路として、日本政府観光局(JNTO)の事業があります。

広報・取材支援

JNTOの各海外事務所は、現地のメディアに対してプレスリリースやニュースレターで日本の観光情報を日常的に提供しています。国内でも、在日海外メディア向けにニュースレターを定期的に発行しています。

メディア招請

JNTOは海外メディアの記者や関係者を日本に招き、観光地や観光プログラムを実際に視察・体験してもらう取材ツアーを手配しています。地方の食や撮影スポットを行程に組み込んだ例などが紹介されています。招請の受け入れ側になることは、FAMトリップ(メディア向けFAM)とほぼ同じ準備が必要です。

JNTOのWebサイトで発信される枠

体験型コンテンツを紹介する「Experiences in Japan」や、季節の情報・新規オープン情報などを載せる「Japan's Local Treasures」では、地域から情報を募集してJNTOのサイトに掲載し、海外事務所のSNSやプロモーションにも活用しています。2024年の募集では、応募できるのは自治体・DMO(候補法人含む)・地方運輸局で、個々の事業者が直接応募する形ではありませんでした。

つまり、事業者側の現実的な動き方は、地元の自治体やDMO(観光地域づくり法人)に「載せたい情報」を素材として渡しておくことです。写真・英語の説明・受け入れ条件が揃っていれば、こうした募集や招請の行程づくりの際に候補に挙がりやすくなります。

プレスリリースの書き方

まず「ニュースは何か」を決める

記者が知りたいのは「何が新しいのか」です。次のような要素がないと、宣伝文として読み飛ばされます。

  • 新しい体験プログラムの開始、季節限定の実施
  • 初めての受け入れ(例: ハラール対応の食事を始めた、英語ガイド付きの回を新設した)
  • 数字で語れる変化(参加者数、受け入れ国の広がりなど。確かな数字だけ)
  • 地域の行事や文化財と結びついた、その時期にしかない出来事

構成

  1. タイトル: 誰が・何を・いつ、を1行で。形容詞より事実
  2. リード(最初の段落): タイトルの中身を3〜4行で。ここだけ読めば要点が分かるように
  3. 本文: 体験の内容、背景にある地域の歴史や担い手、実施日・料金・定員・言語対応
  4. 写真: 使用許諾が取れている高解像度の写真。人物が写る場合は本人の了承
  5. 問い合わせ先: 担当者名、電話、メール。取材対応できる日時

海外向けのとき

英語版は日本語の直訳ではなく、海外の読者が知らない前提(地名の位置、行事の意味)を一言補います。アクセス(最寄りの主要駅・空港からの時間)も必須です。

掲載実績を営業に活かす

メディアPRは、記事が出たところで終わりにしないことが大切です。掲載は一度きりでも、実績は営業で何度も使えます。

  • 掲載媒体名・国・掲載日・URL(または誌面のコピー)を一覧にして残す
  • プロダクトシート(商品提案書)(商品提案書)に「掲載実績」欄を設ける
  • 商談会(インバウンド商談会)では、記事を印刷して持参する
  • OTAの商品説明や自社サイトにも引用する(引用の範囲は媒体の規定を確認)

記録を残していないと、次のような取りこぼしが起きます。

旅行会社の担当者から「海外のどこかで紹介されたことはありますか?」と聞かれて、何も出せなかった。記事は出ていたのに、どこに載ったか控えていなかった。

掲載は自分でコントロールできませんが、記録と転用は自分でできます。

よくある誤解と、似た言葉との違い

「プレスリリースを出せば記事になる」わけではありません。 配信は掲載の約束ではなく、記者が判断する材料を渡すことです。反応がなくても、内容を変えて次の機会に出し直す前提で考えます。

「PR=広告」ではありません。 PR(Public Relations)は本来、社会や関係者との良い関係をつくる活動全体を指します。日本では「宣伝」の意味で使われることも多いですが、メディアPRは広告枠を買う行為とは別物です。費用を払って記事風に載せる「記事広告(タイアップ)」は広告であり、メディアPRとは区別して考えます。

インフルエンサー招請との違い: インフルエンサーは個人の発信者で、認知を広げる力が強い一方、媒体としての編集チェックはありません。メディアは編集部の判断を経るぶん、B2Bの営業資料としての信頼性が高いという違いがあります。どちらを狙うかは目的で決めます。

よくある質問

小さな体験事業者でも、プレスリリースを出す意味はありますか?

あります。全国紙に載らなくても、地元紙や地域のWebメディア、業界紙に取り上げられれば、その記事は営業資料として使えます。また、自治体やDMOに同じ内容を共有しておくと、JNTOの情報募集やメディア招請の行程づくりの際に素材として使われる可能性が生まれます。

海外メディアに取り上げてもらうには、どこに連絡すればよいですか?

個々の事業者が海外の編集部に直接アプローチするのは難しいため、まず地元の自治体・DMO・観光協会に相談するのが現実的です。JNTOの体験コンテンツ募集は自治体・DMO等が応募する仕組みで、メディア招請も地域と連携して行程が組まれます。最新の募集状況はJNTOの地域向けページで確認してください。

プレスリリースの配信サービスは使うべきですか?

使うかどうかは目的次第です。有料の配信サービスは多くの媒体に一斉に届けられますが、掲載が約束されるわけではありません。地域の体験の場合、記者に個別に送る、地元の記者クラブに持ち込む、自治体やDMOの広報に素材として渡すといった方法のほうが反応が得られることもあります。費用と効果を見比べて判断してください。

取材を受けるときに気をつけることは何ですか?

掲載内容の最終判断は媒体側にあり、記事の事前確認ができない場合もあります。料金・定員・実施日などの事実は資料で渡して誤りを防ぎ、写真の使用条件や人物が写る場合の了承も先に整理しておきます。記事が出たら、媒体名・掲載日・URLを控えて営業資料に転用できるようにしておきます。

出典・参考

  1. JNTO「広報・取材支援」 — 海外事務所が現地メディアにプレスリリース・ニュースレターで情報提供、在日海外メディア向けニュースレターの定期発行
  2. JNTO「メディア招請」 — 海外メディアの記者を招き観光地・プログラムを視察・体験してもらう取材ツアーの手配、事例(奈良・道東・フィリピン向け)
  3. JNTO「地域との連携事業」 — Experiences in Japan/Japan's Local Treasures の内容(地域から募集しJNTOサイト・SNS・プロモーションで活用)
  4. JNTO「<募集!>地域の魅力的な観光情報・体験型コンテンツの発信に JNTOのメディアを活用しませんか(2024年6月28日締切)」 — 応募対象は自治体・DMO(候補法人含む)・地方運輸局。賛助団体以外も応募可

公開 2026.10.09 / 執筆: 一般社団法人Kachisai 事務局。定例会で会員事業者から受けた質問と、上記の一次情報をもとに作成しています。内容の誤りや古くなった情報はお問い合わせからお知らせください。

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