Policy & Data

DMO(観光地域づくり法人)Destination Management Organization

読み: ディー・エム・オー別名: 観光地域づくり法人・日本版DMO・登録DMO・地域DMO・広域連携DMO・都道府県DMO・Destination Marketing Organization

地域の「稼ぐ力」を引き出し、多様な関係者と協働しながら観光地経営の戦略を策定・実行する、観光地域づくりの司令塔となる法人。観光庁の登録制度があり、広域連携DMO・都道府県DMO・地域DMOの3区分で登録される。

この用語の要点

  • Destination Management / Marketing Organization の略。観光庁は「観光地域づくり法人」と訳し、登録制度を設けている
  • 観光庁の発表では、令和8年(2026年)9月1日現在、広域連携DMO 10法人・都道府県DMO 38法人・地域DMO 274法人が登録され、ほかに候補DMOが21法人ある
  • 登録の要件は、戦略策定とデータ分析、PDCA、関係者との合意形成、組織、安定的な財源の5つ。登録の有効期間は3年
  • 観光協会とDMOは「どちらか」ではない。観光協会が要件を満たしてDMOとして登録されている例も多く、名前だけでは区別できない。観光庁の登録一覧で確認する
  • DMOは地域全体の戦略・データ・プロモーションの窓口。商談会やFAMトリップ、旅行会社の紹介など、一事業者では届かない機会につながる入口になる

DMOとは:意味と観光庁の定義

DMOは Destination Management Organization(デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーション)の略で、Marketing Organization と展開されることもあります。「デスティネーション」は旅の目的地、つまり観光地のことです。直訳すると「観光地を経営・売り込む組織」になります。

日本では観光庁がこれを「観光地域づくり法人」と呼び、登録制度を設けています。観光庁はDMOを、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する「地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔」として、多様な関係者と協働しながら戦略を策定し、着実に遂行する機能を備えた法人と説明しています。

ポイントは「司令塔」という言葉です。DMOは自分で宿や体験を売る会社というより、地域全体として誰に・何を・どう売るかを決め、宿泊・飲食・交通・体験・自治体などの関係者をまとめる役割を担います。

登録の3区分と5つの要件

観光庁の登録制度では、マネジメントやマーケティングの対象とする区域の広さによって3つに分かれます。

区分対象となる観光地域登録数(令和8年9月1日現在)
広域連携DMO地方ブロック単位10法人
都道府県DMO単一都道府県の全域38法人
地域DMO単一市区町村の全域、または複数市区町村にまたがる区域274法人

このほか、登録を目指して取り組み中の「候補DMO」が21法人あります(いずれも観光庁「観光地域づくり法人(DMO)登録一覧」より)。登録数は随時更新されるので、最新の数字は観光庁のページで確認してください。

登録には、次の5つの要件を満たす必要があります。

  1. 観光地経営戦略の策定、指標の設定、データの継続的な収集・分析
  2. 戦略に基づく取組の実施・検証・改善(PDCAサイクルの確立)
  3. 多様な関係者との体制構築と合意形成
  4. 組織の確立と強化
  5. 安定的な財源の確保

登録の有効期間は3年で、続けるには更新の申請が必要です。登録の考え方を定めたガイドラインは改正が重ねられており、観光庁の登録制度のページに最新版(令和8年7月24日一部改正)が掲載されています。

観光協会との違い

「観光協会とDMOは何が違うのか」という疑問に、結論から答えると比べる軸が違います。

観光協会は組織の名前です。地域の事業者が会員となって観光案内やイベント、パンフレット作りなどを担ってきた団体で、法人の形も地域によってさまざまです。一方のDMOは、観光庁の登録制度上の位置づけです。5つの要件を満たして登録された法人が「登録DMO」になります。

そのため、観光庁の登録一覧を見ると、「(一社)〇〇観光協会」という名前のまま地域DMOとして登録されている法人が数多くあります。株式会社や財団法人の形で登録されているDMOもあります。

比べる点従来型の観光協会のイメージ登録DMOに求められること
主な仕事観光案内、イベント、パンフレット、会員の取りまとめデータ分析に基づく戦略づくり、目標(KPI)の設定と検証
関係者観光関連の会員事業者が中心農業・商工・交通・自治体など観光以外も含む多様な関係者
財源会費や自治体の補助が中心になりがち安定的な財源の確保が登録要件の一つ

自分の地域の観光協会がDMOかどうかは、観光庁の「観光地域づくり法人(DMO)登録一覧」で法人名を探すと確認できます。

地域の観光事業者にとって、なぜ重要なのか

個人戦からチーム戦へ地域内で単独で集客する個人戦から、広域で連携して面で魅力を伝えるチーム戦への転換を示す図。個人戦地域内で単独で集客に挑む1施設・1体験では旅行者に見つけてもらいにくい旅行会社から見ても「1日分の行程」にならないチーム戦地域全体で広域連携し、面で魅力を伝える宿・食・体験・移動をつないで「行く理由」をつくる互いに送客し合い、ランドオペレーターにも提案しやすい「地方には世界に誇れる価値がある」――個の魅力を、地域の面として届ける(送客=チーム戦の要)
個人戦からチーム戦へ。地域でまとまることで、一事業者では届かない販路や送客が生まれる。2026-08-10 Kachisai定例会セミナーの図を再作成

一軒の宿や一つの体験だけで、海外の旅行者に「この地域に行こう」と思わせるのは簡単ではありません。旅行者は地域単位で行き先を選び、その中で泊まる場所や体験を選びます。地域としての見え方を作るのがDMOの仕事なので、事業者にとってDMOは自分の商品を地域の物語の中に置いてもらう相手です。

もう一つの理由は、DMOが外とつながる窓口になっていることです。海外向けのプロモーション、旅行会社やメディアを招くFAMトリップ、商談会への出展、JNTO(日本政府観光局)との連携などは、DMOや自治体が主催者や窓口になることが多い仕事です。小さな事業者が単独で参加しにくい場に、地域の一員として加われる可能性があります。

さらに、DMOは各種データを継続的に収集・分析することが登録要件になっています。自分の事業だけでは見えない「どの国の人が、いつ、何を目的に地域に来ているか」という情報を得られる場合があります。

事業者がDMOと一緒にできること

まず知ってもらう

DMOの担当者は、地域のすべての事業者の最新情報を把握しているわけではありません。次の情報を1枚にまとめて渡しておくと、FAMトリップの行程や旅行会社からの問い合わせの際に候補に挙がりやすくなります。

  • 提供している体験・宿泊・食事の内容と写真
  • 受け入れ可能な人数(最少催行人数と上限)、所要時間、対応言語
  • アレルギー・宗教食への対応可否
  • タリフ(NET価格・GROSS価格)とキャンセルポリシー

関わり方の例

  1. DMOの会員・パートナー制度があれば加入し、会議や勉強会に出る
  2. FAMトリップや商談会の受け入れ・出展の募集に手を挙げる
  3. DMOが行う来訪者調査に協力し、結果を共有してもらう
  4. 近隣の事業者と組んだ周遊プランをDMOに持ち込み、地域の商品として売り出してもらう
DMOに相談したいけれど、何を持っていけば話が進むの?

答えは、旅行会社に営業するときと変わりません。上の4点がそろっていれば、担当者は地域の商品として紹介しやすくなります。DMOは地域のハブですが、商品の中身を作るのは事業者自身です。

よくある誤解と、似た言葉との違い

「DMOに登録されると補助金がもらえる」と単純に考えない。 観光庁や自治体の支援事業の中には、DMOが申請主体となるものがあります。ただし、どの事業が誰を対象にしているかは年度ごとに変わるため、個別の公募要領で確認する必要があります。

「DMOができたら観光協会はなくなる」わけではない。 前述のとおり、観光協会がそのままDMOとして登録されている例も多く、地域によっては観光協会とDMOが役割を分担して並び立っています。

DMC(Destination Management Company)とは別物。 綴りが似ていますが、DMCは旅行会社のために現地の手配を行う民間企業で、ランドオペレーターとほぼ同じ意味で使われます。商談会などで「DMO」と「DMC」を取り違えると話が噛み合わなくなるので、相手がどちらを指しているかを最初に確認すると安全です。

よくある質問

観光協会とDMOは何が違うのですか?

観光協会は組織の名前、DMOは観光庁の登録制度上の位置づけです。観光協会が5つの登録要件を満たしてDMOとして登録されている例も多く、名前だけでは区別できません。自分の地域の組織がDMOかどうかは、観光庁の登録一覧で法人名を探すと確認できます。

民間の観光事業者がDMOに登録することはできますか?

DMOは特定の事業者の利益ではなく地域全体の観光地経営を担う法人として、多様な関係者との合意形成や安定的な財源などの要件を満たす必要があります。登録一覧には株式会社の形のDMOもありますが、一事業者が自社のために登録する制度ではありません。詳しくは観光庁の登録制度のページで要件を確認してください。

自分の地域のDMOを調べるにはどうすればよいですか?

観光庁の「観光地域づくり法人(DMO)登録一覧」に、登録区分・法人名・マネジメントやマーケティングの対象区域が掲載されています。一つの市町村が、地域DMO・都道府県DMO・広域連携DMOの複数の区域に含まれていることもあるので、規模の違うDMOをそれぞれ確認しておくと関わり方の幅が広がります。

DMOと関わると、どんなメリットがありますか?

地域全体のプロモーションや、FAMトリップ・商談会・旅行会社からの問い合わせなど、一事業者では届きにくい機会の候補に入りやすくなります。来訪者のデータを共有してもらえる場合もあります。ただし内容はDMOごとに異なるので、まずは担当者に自分の商品を説明し、どんな協力の形があるかを聞いてみてください。

出典・参考

  1. 観光庁「観光地域づくり法人(DMO)とは」 — DMOの定義(観光地域づくりの司令塔)と基礎的な役割
  2. 観光庁「観光地域づくり法人(DMO)の登録制度・申請様式」 — 登録区分の定義、5つの登録要件、有効期間3年、ガイドライン(令和8年7月24日一部改正)
  3. 観光庁「観光地域づくり法人(DMO)登録一覧」 — 令和8年9月1日現在の登録数(広域連携10・都道府県38・地域274、候補21)。一覧PDFで観光協会名の法人が地域DMOとして登録されていることを確認

公開 2026.10.05 / 執筆: 一般社団法人Kachisai 事務局。定例会で会員事業者から受けた質問と、上記の一次情報をもとに作成しています。内容の誤りや古くなった情報はお問い合わせからお知らせください。

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