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通訳案内士Licensed Guide Interpreter
報酬を得て、外国人に付き添い外国語で旅行に関する案内をする者のうち、国家試験に合格して都道府県に登録した「全国通訳案内士」と、自治体の研修を経て登録した「地域通訳案内士」の総称。2018年1月から名称独占資格。
この用語の要点
- 2018年1月4日施行の改正通訳案内士法で「業務独占」から「名称独占」に変わり、資格がなくても有償で外国語の観光案内ができるようになった
- 資格のない人は「全国通訳案内士」「地域通訳案内士」やこれに類似する名称(観光庁資料では「通訳ガイド」等)を名乗れない。「外国語ガイド」とは名乗れる
- 全国通訳案内士は国家試験合格+居住する都道府県知事への登録。登録者は27,312名(2024年4月1日現在)で、東京など都市部と60代以上に偏っている
- 地域通訳案内士は特定の地域に精通したガイドで、自治体の研修を経て登録。42地域・3,782名(2024年4月1日現在)
- 資格は必須ではないが、信用の目印になるほか、ガイドに伴う送迎の扱いなど制度上の違いが出る場面もある
通訳案内士とは何か
通訳案内士は、外国人旅行者に付き添って、外国語で観光案内をする仕事のための資格です。通訳案内士法では、通訳案内を「外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすること」と定め、これを報酬を得て業として行う人を対象にしています。
現在の制度には2種類あります。
| 種類 | なり方 | 活動できる範囲 |
|---|---|---|
| 全国通訳案内士 | 毎年1回の国家試験に合格し、居住する都道府県知事に登録 | 全国 |
| 地域通訳案内士 | 各自治体が行う研修を受講し、その地域で登録 | 登録した特定の地域 |
地域通訳案内士は、かつて特区法などで地域ごとに設けられていた地域限定のガイド制度を、2018年の法改正で通訳案内士法の本則に位置づけ直したものです。地域の歴史・地理・文化に詳しい人を、その地域のガイドとして育てる仕組みです。
全国通訳案内士には5年ごとに登録研修機関の研修を受ける義務があり、受けないと登録を取り消されることがあります。
2018年の法改正で何が変わったか
地域の観光事業者にとって一番大事なのはここです。
2018年1月4日に改正通訳案内士法が施行され、通訳案内士は「業務独占資格」から「名称独占資格」に変わりました。
- 改正前(業務独占): 資格を持たない人が、報酬を得て外国語の観光案内をすることはできなかった
- 改正後(名称独占): 資格がなくても、有償で外国語の観光案内ができる。ただし資格の名称は名乗れない
観光庁は「資格を有さない方も、有償で外国語を用いた観光案内を行うことができるようになりました」と明記しています。一方で、資格のない人は「全国通訳案内士」「地域通訳案内士」、またはこれに類似する名称を使えません。観光庁の検討会資料では、「外国語ガイド」という名称は使えるが、「通訳ガイド」など有資格者と紛らわしい名称は使えないと整理されています。
英語で体験の説明をしたいけれど、資格がないとお金はもらえないんですよね?
地域の事業者からよく出る質問ですが、2018年以降はこれは誤解です。英語の得意なスタッフが自分の体験プログラムを外国語で案内し、料金を受け取ること自体は、通訳案内士法上は資格を求められていません。気をつけるのは名乗り方で、パンフレットやOTAの掲載ページに「通訳ガイド付き」と書く場合は、案内する人が有資格者かどうかを確認してから表記を決めます。
なぜ地域の事業者に関係するのか
地方の体験や宿を海外の旅行会社に売るとき、「英語で案内できる人がいるか」は必ず聞かれる項目です。ランドオペレーター(ランドオペレーター)が作るツアーでも、ガイドの手配は商品の中心にあります。
ところが、有資格者は地域的に大きく偏っています。観光庁の検討会資料(2024年6月)によると、全国通訳案内士の登録者27,312名のうち東京都が9,058名と3分の1を占め、登録が数十名にとどまる県も少なくありません。年代別では60代が8,377名、70代以上が7,329名で、合わせると半数を超えます。言語別の延べ登録者数は英語が19,830名で最も多く、中国語2,798名、韓国語1,339名と続きます。
つまり地方では、「必要な日に、必要な言語の有資格ガイドが近くにいない」ことが珍しくありません。この不足を埋めるために、地域通訳案内士の育成や、資格を持たない語学人材(いわゆる外国語ガイド)の活用が進められてきました。事業者から見ると、ガイドを外から呼ぶか、自前で案内できる体制を持つかを決めることが、商品づくりの前提になります。
実務での選び方と準備
ガイド体制の3つのパターン
- 自分やスタッフが外国語で案内する: 資格は不要。ただし「通訳ガイド」とは名乗らない。説明の質を一定に保つため、案内の台本や英語の解説シートを作っておく
- 地域通訳案内士・全国通訳案内士に依頼する: 自治体や観光協会、ガイド団体に紹介を頼む。日当・交通費・拘束時間の条件を先に確認する
- ランドオペレーターや旅行会社にガイド手配を任せる: 商品のプロダクトシート(商品提案書)(プロダクトシート)に「ガイドは手配側で用意」「現地スタッフは日本語のみ」などと明記しておく
有資格者を使うメリットがある場面
- 高単価のプライベートツアーなど、旅行会社が「資格を持つガイド」を条件にしてくる場合
- ガイドが車で旅行者を案内する場合。国土交通省のガイドラインでは、通訳案内士等の公的資格を持つ観光ガイドが、ガイドのために利用者を運送し、運送に対する対価を受け取らない場合は、道路運送法の許可等は不要と整理されています。資格の有無で扱いが変わりうるため、送迎を含む商品は運輸局に確認しておくと安全です
書いておくべきこと
対応言語、ガイドの有無(自前か手配か)、ガイド料が料金に含まれるか別途かは、タリフ(料金表)(タリフ)とプロダクトシートの両方に書きます。ここが曖昧だと、旅行会社は見積もりを出せません。
よくある誤解と、似た言葉との違い
「通訳案内士がいないとインバウンドの体験は売れない」は誤解です。 2018年以降、資格のない人でも有償で案内できます。売れるかどうかを決めるのは、資格よりも「案内の中身」と「商品情報が整っているか」です。
「ガイドなら何でも旅行業の登録が要る」も誤解です。 自分の体験を自分で案内するのは、他人の運送や宿泊を手配する旅行業法と旅行業登録(旅行業法)の規制対象とは別の話です。一方、旅行会社のために有償で通訳案内(有資格者以外によるもの)を手配する事業は、旅行サービス手配業の対象行為に含まれています。手配する側に回るときは、旅行業法の登録要否を都道府県や観光庁に確認してください。
「通訳」と「通訳案内」は別物です。 会議や商談の通訳は通訳案内士法の対象ではなく、通訳案内士法が扱うのは、外国人に付き添って旅行の案内をする行為です。
よくある質問
資格がなくても、外国人観光客をガイドして料金をもらってもいいですか?
2018年1月4日施行の改正通訳案内士法により、資格がなくても有償で外国語の観光案内ができるようになりました。ただし「全国通訳案内士」「地域通訳案内士」やこれに類似する名称(「通訳ガイド」等)は名乗れません。名乗るなら「外国語ガイド」などの表現にとどめてください。
全国通訳案内士と地域通訳案内士は、どちらを目指せばいいですか?
全国通訳案内士は国家試験の合格が必要で、全国どこでも活動できます。地域通訳案内士は自治体の研修を受けて登録する資格で、その地域でのみ活動できます。地元での案内が中心なら、まず自分の地域に地域通訳案内士の制度があるか、都道府県や市町村の観光担当課に確認するのが近道です。
有資格のガイドを探すにはどうすればいいですか?
全国通訳案内士は居住する都道府県に登録されているため、都道府県の観光担当課や、ガイド団体、地域の観光協会・DMOに相談すると紹介を受けられることがあります。地方では有資格者が少ない地域も多いので、繁忙期の依頼は早めに条件(言語・日時・日当・交通費)を提示して押さえておくことが大切です。
ガイドが自分の車で観光客を乗せて案内しても大丈夫ですか?
国土交通省のガイドラインでは、通訳案内士等の公的資格を持つガイドがガイドのために利用者を運送し、運送の対価を受け取らない場合は許可等は不要とされています。一方、実態が目的地への運送だけの場合は許可等が必要になります。個別の判断は管轄の運輸局に確認してください。
関連する用語
出典・参考
- 観光庁「通訳ガイド制度」 — 2018年1月4日施行で資格がなくても有償の外国語観光案内が可能に/全国・地域通訳案内士の定義
- 観光庁「改正通訳案内士法の概要」 — 業務独占から名称独占への見直し、地域通訳案内士の本則化、5年ごとの登録研修機関研修
- 観光庁「全国通訳案内士とは」 — 通訳案内の定義、毎年1回の試験、居住都道府県知事への登録
- 観光庁「通訳案内士の資格を持たない方」 — 資格のない人は全国・地域通訳案内士や類似名称を使用できない
- ガイド人材の活性化に係る検討会「中間とりまとめ」(令和6年6月) — p.1 参考1: 全国27,312名・地域42地域3,782名(2024年4月1日現在)、「外国語ガイド」は使用可・「通訳ガイド」等は不可/p.3 参考2: 都道府県別・年代別・言語別の登録者数
- 観光庁「旅行業法概要」 — 旅行サービス手配業の対象行為に、全国・地域通訳案内士以外の者による有償の通訳案内の手配が含まれる
- 国土交通省「道路運送法の許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」について — p.3 ツアー&ガイドに付随する送迎: 通訳案内士等の公的資格を有するガイドが反対給付なしで運送する場合は許可等不要、実態が運送のみなら要許可
公開 2026.10.10 / 執筆: 一般社団法人Kachisai 事務局。定例会で会員事業者から受けた質問と、上記の一次情報をもとに作成しています。内容の誤りや古くなった情報はお問い合わせからお知らせください。
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