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MICEMICE
企業系会議(Meeting)、企業の報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際会議(Convention)、展示会・見本市・イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとった総称。多くの人が集まり、一般の観光旅行とは目的・発注者・意思決定の仕方が異なるビジネス系の旅行・催事をまとめて指す。
この用語の要点
- MICEは Meeting・Incentive・Convention・Exhibition/Event の4つの総称。観光庁・JNTOとも同じ枠組みで使っている
- 地域の体験・宿泊・飲食の事業者が最も関わりやすいのは「I」=企業が従業員や代理店の表彰・研修・顧客招待のために実施するインセンティブ旅行
- 発注者は旅行者本人ではなく企業。海外のインセンティブ旅行取扱旅行会社やインセンティブハウスが企画し、日本側ではDMCやランドオペレーターが手配する
- JNTOによれば、インセンティブ旅行では表彰式・ガラディナー・チームビルディングなど「個人旅行ではできない付加価値のある体験」が求められる
- 貸切・時間外対応・大人数の同時体験・会場利用(ユニークベニュー)など、個人客向けとは別の商品設計が必要になる
MICEとは:4つの頭文字の意味
MICE(マイス)は、ビジネスや学術を目的に多くの人が集まる旅行・催事をまとめて呼ぶ言葉です。JNTO(日本政府観光局)は4つを次のように説明しています。
| 頭文字 | 英語 | 内容(JNTOの説明) |
|---|---|---|
| M | Meeting | 企業が目的に応じて関係者を集めて行う会議 |
| I | Incentive | 企業が、従業員や代理店等の表彰・研修、顧客の招待等を目的として実施する旅行 |
| C | Convention | 国際機関・団体、学会等が主催または後援する会議 |
| E | Exhibition / Event | 国際機関・団体、学会、民間企業等が主催または後援する展示会、見本市、イベント等 |
観光庁も公募資料で「企業系会議、企業の報酬旅行、国際会議、展示会・見本市・イベント等の総称」と同じ枠組みで定義しています。行政がMICEに力を入れるのは、主催者・参加者・出展者の消費が開催地に落ち、一般の観光とは違う時期・曜日に人が動くためです。
商流の中での位置づけ:発注者は「旅行者」ではなく「企業・団体」
一般の観光旅行は、旅行者本人が行き先や体験を選びます。MICEは違います。行き先・日程・予算・プログラムを決めるのは、会議の主催者、学会、そしてインセンティブ旅行なら旅行を実施する企業です。参加者は「招待される側」です。
インセンティブ旅行の場合、JNTOのマーケティング戦略では関係者として次が挙げられています。
- インセンティブ旅行を実施する企業
- 海外のインセンティブ旅行取扱旅行会社(アジアでは旅行会社のMICE部門が企業に提案することが多い)
- インセンティブハウス(欧米を中心に、企画・演出を専門に行う会社)
- ミーティングプランナー
これらの海外側の会社が、日本国内の手配を任せる相手がDMCやランドオペレーターです。つまり地域の事業者から見た商流は、通常の旅行会社経由のルートとほぼ同じで、入口は日本側のDMC・ランドオペレーターです。違うのは、最終的な発注者が企業であることと、求められる内容が「観光」より「演出」に寄ることです。
地域の観光事業者にとって、なぜ重要なのか
国際会議や大型展示会は会議場とホテルが揃った都市が中心で、地方の小さな事業者が直接取りに行くものではありません。一方でインセンティブ旅行(I)は、地方の体験が主役になり得る分野です。
JNTOはインセンティブ旅行の市場特性として、アジア市場は「訪日旅行のリピーター層が多い東アジアを中心に地方への誘客が期待できる」、欧米豪市場は「小規模で単価が高く、催行日数が長い」と整理しています。そして求められるのは、表彰式やガラディナー、チームビルディングなど「個人旅行ではできない付加価値のある体験」です。
言い換えると、インセンティブ旅行の担当者が探しているのは「誰でも予約できる体験」ではなく、その会社のためだけに用意された特別な時間です。貸切の酒蔵での夕食、閉館後の寺社での演奏、農家の庭先での収穫と調理――地方の事業者が持っている「規模は小さいが他にない場」は、ここで価値になります。
受け入れの実務:個人客向けと何を変えるか
商品の作り方
インセンティブ向けの問い合わせでは、通常のプランをそのまま出しても選ばれにくくなります。次の点を事前に決めておくと、DMCやランドオペレーターが提案に組み込みやすくなります。
- 貸切の可否と料金: 時間帯ごと(営業時間外・夜間)の貸切料。最少人数ではなく「貸切1回いくら」の形でも出せるようにする
- 同時に受けられる人数と分割案: 50人を一度に受けられないなら、3班に分けて回す案、近隣事業者と分担する案
- 演出の余地: 社名入りの歓迎看板、表彰の場としての利用、ケータリングの持ち込み可否
- 会場としての利用: JNTOは歴史的建造物や文化施設などで会議・レセプションを開き、特別感や地域特性を演出できる会場を「ユニークベニュー」として紹介している。自分の施設が会場になり得るかを考える
価格と条件
大人数・貸切の取引では、NET価格・GROSS価格(卸値と販売定価)の区別と、キャンセルポリシーを通常よりも具体的に決めておきます。人数確定の期限、人数減の扱い、雨天時の代替案は、企業側の稟議で必ず聞かれる項目です。
どこに伝えるか
MICEの専門会社に直接売り込むより、地域のコンベンションビューローやDMO、取引のあるランドオペレーターに「インセンティブ向けにこういう貸切ができる」と伝えるほうが現実的です。JNTOも海外で、自治体やコンベンションビューロー、事業者向けにインセンティブ旅行取扱業者との商談会を開いています。
具体例:酒蔵の夕食を「インセンティブ向け」に組み替える
ある酒蔵が、個人客向けに「蔵見学+試飲 60分・定員10名」を販売しているとします。これをインセンティブ旅行向けに組み替えると、たとえば次のようになります。
- 営業終了後の蔵を2時間貸切にする(貸切料を設定)
- 蔵の中で、地元の料理店のケータリングによる夕食会を開く(料理店と事前に役割分担)
- 冒頭に杜氏が挨拶し、企業側の表彰の時間を15分設ける
- 参加者は40名。蔵見学は2班に分け、待つ班は酒の飲み比べを行う
変えたのは「商品の中身」より「時間・場所・人数の使い方」です。個人客向けの体験をそのまま大人数に広げるのではなく、貸切と演出を前提に組み直すのがポイントです。
うちは10人までしか入れない。それでもMICEの団体を相手にできるのか。
人数の上限は弱みではなく条件です。上限を正直に書き、「分割すれば何人まで」「近隣と組めば何人まで」を示しておけば、手配側が組み合わせて提案できます。
よくある誤解と、似た言葉との違い
「MICE=大都市の国際会議場の話」ではありません。 会議や展示会そのものは都市で開かれても、その前後の視察やエクスカーション(会議参加者向けの小旅行)、インセンティブ旅行は地方まで足を延ばします。
「インセンティブ旅行=団体旅行(GIT)」とも少し違います。 人数がまとまる点はGIT(団体旅行)に近いですが、インセンティブ旅行は企業が費用を負担し、目的が「報奨・研修・招待」である点が異なります。参加者を満足させること自体が企業の目的なので、価格より「特別感」が重視されます。
MICEとDMOも別物です。 地域でMICE誘致を担うのはコンベンションビューローやDMOであることが多いですが、MICEは「旅行・催事の種類」、DMOは「組織」の名前です。
よくある質問
MICEのうち、地方の小さな体験事業者が関われるのはどれですか?
主にI(インセンティブ旅行)です。企業が従業員や代理店の表彰・研修、顧客の招待のために行う旅行で、JNTOも「個人旅行ではできない付加価値のある体験」が求められると説明しています。国際会議(C)や展示会(E)の参加者向けの視察・エクスカーションで声がかかることもあります。
インセンティブ旅行の問い合わせは、どこから来ますか?
海外のインセンティブ旅行取扱旅行会社やインセンティブハウスが企画し、日本国内の手配はDMCやランドオペレーターが担うのが一般的です。地域の事業者に直接連絡が来るより、DMC・ランドオペレーター、地域のコンベンションビューローやDMOを経由することが多いので、まずそこに貸切や大人数対応の情報を伝えておくのが近道です。
MICEの受け入れで、個人客向けの料金表とは別のものが必要ですか?
貸切料、時間外対応の料金、大人数の場合の分割案、人数確定の期限とキャンセル条件は、個人客向けの料金表には載っていないことが多い項目です。インセンティブ向けの問い合わせでは必ず確認されるため、通常のタリフに「貸切・団体向け条件」を別紙で付けておくと提案に組み込まれやすくなります。
自分の施設を会議やレセプションの会場として貸せますか?
建物や場所の性格によっては可能性があります。JNTOは歴史的建造物や文化施設などで会議・レセプションを開き、特別感や地域特性を演出できる会場を「ユニークベニュー」として紹介しています。ただし、飲食の提供や不特定多数の利用には消防・食品衛生・建物の用途などの確認が必要な場合があるため、自治体の担当窓口に事前に相談してください。
関連する用語
出典・参考
- JNTO(日本政府観光局)「MICEの誘致・開催支援」 — M・I・C・Eそれぞれの定義、海外でのインセンティブセミナー・商談会の開催
- 観光庁「令和8年度『地域のMICE誘致力強化促進事業』の公募開始のお知らせ」 — MICEの定義の注記(企業系会議・企業の報酬旅行・国際会議・展示会・見本市・イベント等の総称)
- JNTO「MICEマーケティング戦略(インセンティブ旅行)」 — アジア市場・欧米豪市場の特性、関係者(取扱旅行会社・インセンティブハウス等)、求められる体験(表彰式・ガラディナー・チームビルディング)
- JNTO MICE「MICE誘致活動」 — インセンティブ旅行の定義と、誘致・受入支援事業の実施
- JNTO MICE「ユニークベニュー」 — ユニークベニューの定義(歴史的建造物・文化施設・公的空間等で特別感や地域特性を演出できる会場)
公開 2026.10.14 / 執筆: 一般社団法人Kachisai 事務局。定例会で会員事業者から受けた質問と、上記の一次情報をもとに作成しています。内容の誤りや古くなった情報はお問い合わせからお知らせください。
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