Sales & Marketing

ワーケーションWorkation

読み: わーけーしょん別名: ブレジャー・ワークバケーション・デジタルノマド・滞在型テレワーク

Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語で、テレワーク等を活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ自分の時間も過ごすこと(観光庁の定義)。観光庁は出張先で滞在を延ばすブレジャーとあわせて「新たな旅のスタイル」と位置づけている。

この用語の要点

  • 観光庁の定義では、普段と違う場所で仕事をしながら自分の時間も過ごすこと。余暇が主体の型と、仕事が主体の型がある
  • 似た言葉の「ブレジャー」は、出張の前後に滞在を延ばして余暇を楽しむこと
  • 観光庁の調査では、受入地域に企業が最も求めるのは、セキュリティと速度が確保されたWi-Fiなどの通信環境
  • 海外からは、年収などの要件を満たすリモートワーカー向けに、最長6か月滞在できるデジタルノマド向けの在留資格がある
  • 観光客より滞在が長く、平日に来るため、閑散期・平日の稼働を埋める客層として考えられる

ワーケーションとは

ワーケーションは、Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語です。観光庁は「テレワーク等を活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすこと」と説明しています。

テレワークが広がり、働く場所を選べる人が増えたことが背景にあります。観光庁はワーケーションとブレジャー(後述)を「新たな旅のスタイル」と位置づけ、旅行の機会を増やし、旅行需要を平準化する(特定の時期への集中をならす)手段として普及を進めています。

観光庁によれば、ワーケーションには「余暇が主体」のものと「仕事が主体」のものの2つのパターンがあります。

  • 休暇型: 有給休暇でリゾートや観光地を旅行しながら、一部の時間でテレワークをする
  • 業務型: 仕事が主体。職場のメンバーで場所を変えて議論する「合宿型」のほか、「地域課題解決型」といった類型も示されている

ブレジャー、デジタルノマドとの違い

ブレジャー(Bleisure) は、Business(ビジネス)とLeisure(レジャー)を組み合わせた造語です。観光庁の説明では「出張等の機会を活用し、出張先等で滞在を延長するなどして余暇を楽しむこと」。ワーケーションが「旅先で仕事もする」のに対し、ブレジャーは「仕事で来た場所で遊びもする」という順番の違いがあります。

デジタルノマド は、特定の拠点を持たず、各地を移動しながらリモートで働く人を指す言葉です。海外から日本に来るデジタルノマドについては、出入国在留管理庁が専用の在留資格(特定活動)を設けています。公式ページで確認できる主な要件は次のとおりです。

  • 外国の企業との雇用契約などに基づき、情報通信技術を使って日本から外国向けの業務を行う人が対象
  • 申請時点の個人の年収が1,000万円以上
  • 対象となる国・地域の国籍を持つこと
  • 治療費用の補償額が1,000万円以上の海外旅行傷害保険などに加入していること
  • 在留期間は6か月で更新不可。日本の企業に雇われて働くことは認められない

年収要件から分かるように、想定されているのは比較的所得の高い長期滞在者です。滞在中の宿泊・食事・移動・体験の消費が、一般の短期旅行者より長く続く客層だと言えます。

地方の観光事業者にとって、なぜ重要なのか

観光客の多くは週末と大型連休に集中します。地方の宿や体験事業者にとって悩ましいのは、平日と閑散期の空きです。ワーケーションで来る人は、平日に仕事をしながら滞在するため、この空きを埋める客層になりえます。

また、滞在が長いほど、地域の人と顔を合わせる回数も増えます。観光庁は、受入地域にとってのメリットとして、観光事業者の収益だけでなく、関係人口の増加や企業とのつながりづくりも挙げています。一度の滞在で終わらず、繰り返し訪れる人や、地域の仕事にかかわる人が生まれる入口になる、という考え方です(関係人口)。

ただし、ワーケーションは「誰もが求めている旅」ではありません。観光庁の調査では、テレワークができない職種であることや、休暇中は仕事をしたくないことを理由に、関心を持たない人も多いと示されています。最初から大きな需要を見込むのではなく、既存の客層に加える一つの選択肢として準備するのが現実的です。

受け入れるために整えること

観光庁が企業に行った調査では、受入地域に求めるものとして最も多かったのが「セキュリティやスピード面が確保されたWi-Fi等の通信環境」でした。観光客向けの「Wi-Fiあり」と、仕事をする人向けの「Wi-Fiあり」は意味が違います。

最低限そろえたいもの

  • 回線の実測値: 「高速Wi-Fi」ではなく、ビデオ会議の時間帯に測った下り・上りの速度を掲載する
  • 作業できる机と椅子: ちゃぶ台と座椅子だけでは長時間の作業は難しい。客室に置けなければ共用スペースでもよい
  • オンライン会議ができる静かな場所: 相部屋や襖越しの客室では、会議の声が問題になる
  • 連泊・長期の料金: 1泊料金の積み上げではなく、1週間・2週間単位の料金を用意する

地域としてそろえたいもの

  • 食事の選択肢(毎晩同じ夕食では長期滞在は続かない)
  • 平日の移動手段(二次交通)
  • 仕事の合間に参加できる短時間の体験(早朝・夕方の1〜2時間で完結するもの)
うちは山の中で回線が弱いけれど、それでもワーケーションの人は来るのか。

地域の事業者からよく聞かれる問いです。考え方としては「回線の実測値を正直に書けば、それで判断してくれる人が来る」。メールと資料作成ができれば十分という人もいれば、毎日ビデオ会議がある人もいます。曖昧な表示で来てもらい、到着後に「会議ができない」と分かるのが最も評価を落とします。

よくある誤解

「ワーケーション向けに新しい施設を建てる必要がある」わけではありません。 求められているのは仕事ができる最低限の環境で、既存の宿の1室を作業向けに整える、近くのコワーキングスペースや公民館と連携する、といった方法で始められます。

「長期滞在なら割引すべき」とも限りません。 長期滞在は清掃やリネン交換の回数を減らせるため、その分を料金に反映するのは合理的です。一方で、平日の空室を埋めるのか、繁忙期の部屋を長く押さえられてしまうのかで、損得は変わります。繁忙期は長期料金の対象外にする、といった線引きをしておくと安全です。

「デジタルノマドだから特別な受け入れ手続きが要る」と身構える必要は、宿の側には基本的にありません。 宿泊者名簿への国籍・旅券番号の記載など、宿泊施設として守るルールは他の外国人宿泊者と同じです。個別の判断に迷う場合は、所在地の保健所など宿泊施設の所管窓口で確認してください。

よくある質問

ワーケーションとテレワークは何が違うのですか?

テレワークは「職場以外の場所で、情報通信技術を使って働くこと」全般を指し、自宅での在宅勤務も含みます。ワーケーションはそのうち、旅先や普段と違う地域で、仕事と休暇を組み合わせて過ごすものを指す言葉です。受け入れる側から見ると、ワーケーションの人は「働く旅行者」と考えると分かりやすいでしょう。

ワーケーションの受け入れに使える補助金はありますか?

観光庁はこれまで、企業のニーズに合ったワーケーション推進の実証事業などを公募してきましたが、事業の有無や条件は年度ごとに変わります。最新の公募は観光庁のワーケーション&ブレジャー特設サイトや報道発表で確認し、あわせて都道府県・市町村の独自支援も確認してください。

海外のデジタルノマドは、日本にどのくらい滞在できますか?

出入国在留管理庁が定めるデジタルノマド向けの在留資格(特定活動)の在留期間は6か月で、更新はできません。年収1,000万円以上、対象国・地域の国籍、一定額以上の保険加入などの要件があります。対象国や細かな要件は変わる可能性があるため、出入国在留管理庁の公式ページで確認してください。

小さな宿でもワーケーションの人は来てくれますか?

規模よりも、仕事ができる環境が正直に伝わっているかどうかが選ばれる決め手になります。回線の実測値、作業できる机の有無、会議ができる場所、連泊の料金をはっきり書いておけば、条件の合う人が予約してくれます。大きな施設にはない静けさや地域との距離の近さは、長期滞在ではむしろ強みになります。

出典・参考

  1. 観光庁「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー — ワーケーション・ブレジャーの定義、余暇主体と仕事主体の2パターン、「新たな旅のスタイル」としての位置づけ
  2. 観光庁 ワーケーション&ブレジャー「企業・従業員の皆様」 — 休暇型・合宿型・地域課題解決型などの類型の説明
  3. 観光庁 ワーケーション&ブレジャー「受入地域・観光事業者の皆様」 — 企業が受入地域に求めるもの(通信環境が最多)、地域側のメリット(関係人口の増加等)、関心を持たない層の理由
  4. 出入国在留管理庁「在留資格『特定活動』(デジタルノマド及びその配偶者・子)」 — 対象となる活動、年収1,000万円以上、保険の補償額、在留期間6か月・更新不可、国内就労不可

公開 2026.10.17 / 執筆: 一般社団法人Kachisai 事務局。定例会で会員事業者から受けた質問と、上記の一次情報をもとに作成しています。内容の誤りや古くなった情報はお問い合わせからお知らせください。

言葉の意味は分かった。次は、自分の事業で使えるようにしたい方へ。

Kachisaiは、地域の観光事業者が集まり、コンテンツづくりから旅行会社・OTAとの取引まで、専門家と仲間と一緒に手を動かすコミュニティです。毎週日曜20時にオンラインで無料説明会を開いています。

用語集の一覧へ →